家のインターフォンが鳴る。
30秒の話を15分にする魔術師があらわれた。
しかも内容は、
「机の脚が長いと良いんじゃないか」という話。
短い脚の机だと床に座らなきゃいけない。
床に座ると足が痛くなる。
でも、脚の長い机と椅子があれば足は痛くならない。
──以上。
文章にしたら一瞬で終わる。
でもその人は、
それをものすごく大切な話として、
時間をかけて、丁寧に、語る。
あまりにも当たり前のことを
「人生の気づき」みたいな顔で話すから、
私は途中から目を丸くして聞いていた。
次は、ベンチの話。
古くなったベンチを「撤去する」という話題になったとき、
その人が急に言い出した。
「“撤去”って言葉、なんかよろしくないよね」
今まで使われてきたベンチに、
申し訳ない気がするらしい。
そんな視点、今まで持ったことなかった。
それ以来、私は
撤去という言葉を使うときは
『お撤去』って言おう
と心に決めた。
やさしさの着地点、そこ。
ちなみにその人、
何を頼んでも即OKはしてくれない。
必ず一回、渋る。
理由はよくわからないけど、
とにかく一回渋る。
「こんな人もいるよなぁ」
と、ひとつ勉強になった。
渋長さん。
あなたみたいな価値観を持った人と出会えたことに感謝。
次に何か撤去するときは、
私はきっとこう言う。
「こちら、お撤去になります。」
今日もまた有益な情報は伝えられなかったけど
経験値は上がりレベルも上がった。
テレレレッテッテー♪


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